鎮魂歌(レクイエム)が聞こえるか

勇気と決断の戦記ファンタジー
人数 3人
時間 20分-
ジャンル 山札マネジメント,協力ゲーム
作者 タカダタダタカ

概要

 何ということだろう!王都は恐るべき殺戮王の軍勢に3方から包囲されてしまった!3人の王子は
 戦列を率い、敵の襲撃を迎え撃ちながら王都に取り残された人々を救出し戦力の立て直しを図る。
 狂気の殺戮王を倒せば王国は救われる…しかし彼を倒せるのは、病床に伏した王ただひとり!

 プレイヤーは3人の王子となり、自らの戦列に加わった兵力(手札)を使って敵を迎え討ちながら
 王都に取り残された人々の救出を試みます。病床の王(K)を救出し、殺戮王(A)を倒すことが
 できればゲームクリア。王国の運命は?衝撃のマルチエンディング。

ルール

使うもの

  • セブン1デッキ
  このゲームでは、カードは以下の2種類に分類される。

<友軍>カード 28枚

 プレイヤーの戦列(手札)に加わってともに戦う兵士と、王都に取り残された人々を表すカード。
  王(K)1枚
    最強の戦力だが病床に伏しており戦線に立つことはできない。
    たとえ刺し違えてでも殺戮王を倒す覚悟を固めている。
  魔道士(12)2枚
    強大な魔法の使い手。争いのために力を使うことは禁じられているが
    王子との友情を守るためなら掟を破ることも辞さない。
  王子(11)3枚
    各プレイヤーの戦列(手札)の指揮官であり切り札でもある3人の王子。
    スート(記号)によって異なる能力を持つ。
  精鋭(10)4枚
    高度に訓練され、実戦経験も豊富な精鋭部隊。
    友軍の主力だがそれだけに損耗も激しく、今や実働数も残り少ない。
  ベテラン(9)5枚
    幾多の戦いを王のもとで戦ってきた兵士たち。
    山賊相手であれば遅れは取らないが、殺戮王の軍勢が相手では分が悪い。
  新兵(8)6枚
    実戦経験のない新兵たち。
    彼らのほとんどがこの戦いで命を落とすだろう。
  義勇兵(7)7枚
    武装した市民。訓練を受けていないため敵を倒す方法も知らない。
    自らの命を捨てて時間稼ぎをするつもりでいる。


<敵軍>カード 21枚

 王都を包囲し攻撃を続けている殺戮王の軍勢を表すカード。
  殺戮王(A)1枚
    魔剣に魅入られ破壊と殺戮を撒き散らす、災厄の王。
    王(K)だけがこの狂える魂に死と安らぎを与えることが出来る。
  狂戦士(2)2枚
    魔剣の放つ瘴気に精神を破壊された狂戦士。
    王子(11)の力をもってしても倒すことは叶わない。
  親衛隊(3)3枚
    主君が正気を失ってもなお忠義を尽くす精鋭の中の精鋭たち。
    その迷いなき刃を砕くには、相応の覚悟が必要となるだろう。
  精鋭(4)4枚
    殺戮王の狂気に促されるまま連戦に次ぐ連戦を生き延びてきた精鋭。
    彼らはまだ正気だろうか?その答えはおそらく彼ら自身も知らない。
  ベテラン(5)5枚
    主君が魔剣を手にしたとき、彼らはまだ新兵だった。
    果てなき殺戮が、戦友たちの死と引き換えに彼らを育てたのだ。
  山賊(6)6枚
    おこぼれを狙って殺戮王の軍勢に付き従う犯罪者たち。
    練度も士気も低いが数だけは多い。まだ正気だが、もう後戻りはできない。

準備

魔導師の隠居

 魔導師(12)2枚を表向きで、すべてのプレイヤーから見える位置によけて置く。
 ※よけて置いた場所を魔導師置き場と呼ぶ。

初期戦列(手札)の準備

 各プレイヤーは3枚の王子(11)から1枚を選んで受け取る。
 8~10の友軍カード15枚をよくシャッフルし、各プレイヤーに2枚ずつ配る。
 これら合計3枚を各プレイヤーの初期戦列(手札)として表向きで手元に置く。
 ※このゲームでは戦列(手札)は常時公開する。

山札の準備

 敵軍(A~6)をよくシャッフルして3つの山札に分ける。これらを<敵軍山札>と呼ぶ。
 残った友軍カード9枚に王(K)と義勇兵(7)を加えてよくシャッフルする。
 これを<王都山札>と呼ぶ。

プレイスペースの準備

 山札を配置し、カードを置くスペースを確保する。

            [敵][敵][敵]
            [軍][軍][軍](敵軍撤退エリア)

(敵軍戦死エリア)   (敵軍襲来エリア)

(友軍戦死エリア)    (迎撃エリア)

               [王] [魔導師置き場]
               [都]
             (被害エリア)    ←こんな感じ

 ※敵軍襲来エリアには毎ターン3つの敵軍山札から1枚ずつカードを裏向きに出す。
 ※迎撃エリアには各プレイヤーの手札から友軍カードを表向きに出す。
 ※被害エリアには王都山札に受けた被害の分、カードを表向きに置く。
 ※戦死エリアには戦闘の結果戦死したカードを表向きに置く。
  (敵軍と友軍で分けておくと片付けがラク)
 ※魔導師置き場には2枚の魔導師(12)を表向きに置いておく。
 ※表向きに置かれているカードはいつでも内容を確認して良い。

進行

勝利条件/敗北条件

 殺戮王(A)を王(K)で迎撃すればプレイヤー全員の勝利。
 勝利点を計算し、マルチエンディングを判定する。

 王都山札にカードが1枚もなくなるとプレイヤー全員の敗北。
 また、王都を回復できない状況で王(K)が被害エリアに置かれると
 殺戮王(A)を倒す手段がなくなるので、プレイヤー全員の敗北。

ゲームの進行

 このゲームは敵軍の襲来とそれへの対処を繰り返して進行する。
 (これら一連の操作手順をターンと呼ぶ)

 各プレイヤーは迎撃や救出などの選択行動を1つ選んで実行する。
 選択行動はそれぞれ解決するタイミングが異なっているので、
 結果を見てから選択して良いものとする。
 (偵察の結果を見てから迎撃か救出かを決める、というふうに)

 各ターンは以下の9つのフェイズ(小手順)を順に消化して進行する。

 フェイズ1・敵軍襲来
  3つの敵軍山札の一番上から敵軍カードをそれぞれ1枚ずつ裏向きで
  敵軍襲来エリアに置く。(毎ターン3枚ずつ置かれることになる)
 
 フェイズ2・偵察(選択行動:任意の敵軍カード1枚の正体を暴く)
  「偵察」と宣言し、自分の戦列(手札)から任意の1枚を横向きにする。
  (この状態を<使用済み>と呼び、戦線復帰するまで使用できない)
  そうしたあと、敵軍襲来エリアに置かれている(襲来した)敵軍カードを
  任意に1枚選んで公開(表向きに)する。
 ※偵察を行ったプレイヤーはこのターンに他の選択行動を行えない。

 フェイズ3・一時退却(迎撃エリアにある友軍カードを戦列に戻す)
  「一時退却」と宣言し、迎撃エリアに置かれている自分の友軍カードを
  横向き(使用済み状態)で自分の戦列(手札)に戻す。
 ※一時退却を行っても、このターンに他の選択行動を行うことができる。

 フェイズ4・戦線復帰(選択行動:使用済み友軍カードを使用可能に)
  「戦線復帰」と宣言し、自分の戦列(手札)にある使用済み友軍カードを
  すべて縦向きに戻す。この友軍カードは次ターンから使用できる。
 ※戦線復帰を行ったプレイヤーはこのターンに他の選択行動を行えない。

 フェイズ5・出撃(選択行動:任意の敵軍カード1枚を迎撃する)
  「出撃」と宣言し、自分の戦列(手札)から任意の友軍カード1枚を
  迎撃エリアの「迎撃したい敵軍カードの前に」表向きで置く。
  (この状態を<交戦中>と呼ぶ)。
  すでに他の友軍カードが交戦中の迎撃エリアには出撃できない。
 ※出撃を行ったプレイヤーはこのターンに他の選択行動を行えない。

 フェイズ6・交戦(戦闘結果を判定する)
  友軍カードと交戦中の状態になっている敵軍カードを公開(表向きに)する。
  友軍カードと敵軍カードの数値を合計し、以下のように判定する。

  15以上…友軍勝利
   敵軍カードを戦死エリアに表向きで置く。
   友軍カードは迎撃エリアにそのまま置いておく。

  14…相討ち
   友軍カードと敵軍カードを戦死エリアに表向きで置く。

  13以下…友軍敗北
   友軍カードを戦死エリアに表向きで置く。
   敵軍カードを敵軍撤退エリアに表向きで置く。

 フェイズ7・被害(王都山札のダメージ)
  交戦を終えた後、敵軍襲来エリアに残った敵軍カードを1枚につき
  王都山札の一番上からカードを1枚めくって被害エリアに表向きで置く。
  処理を終えたら、敵軍襲来エリアにある敵軍カードをすべて
  敵軍撤退エリアに表向きで置く。

  被害の結果、王都山札からカードが1枚もなくなった場合、プレイヤー全員の敗北となる。

 フェイズ8・救出(選択行動:王都山札の上から1枚、カードを手札に加える)
  「救出」と宣言し、王都山札の一番上からカードを1枚表向きで戦列(手札)に加える。
 ※救出を行うプレイヤーはこのターンに他の選択行動を行えない。

  救出の結果、王都山札からカードが1枚もなくなった場合、プレイヤー全員の敗北となる。

 フェイズ9・敵軍再編成
  3つの敵軍山札のうちどれか1つでもカードが1枚もなくなった場合
  すべての敵軍山札と敵軍撤退エリアにある敵軍カードをよくシャッフルし
  再び3つの敵軍山札を作り直す(なるべく均等な枚数にする)。

特別な友軍カード

 王(K)
  王が迎撃エリアにある場合、必ず一時退却しなければならない。

 勲章の王子(11)「たとえこの身を捨てようとも」
  勲章の王子(11)を迎撃エリアに置いた(すでに置いてあった)場合
  出撃フェイズにおいて「たとえこの身を捨てようとも」と宣言できる。
  そうすることで、そのターンに襲来した敵軍カードすべてを迎撃できる。
 ※この宣言をしたプレイヤーは、このターンに他の選択行動を行えない。

  戦闘結果の判定は以下のように行う。
   合計が14以上になる敵軍カードは敵軍戦死エリアに
   合計が13以下になる敵軍カードは敵軍撤退エリアに表向きで置く。

  判定を終えたあと、勲章の王子(11)を友軍戦死エリアに表向きで置く。
  (判定結果がすべて15以上であっても勲章の王子(11)は戦死する)

 砂時計の王子(11)と柩の王子(11)「盟約を果たす時が来た」
  砂時計または柩の王子(11)を迎撃エリアに置いた(すでに置いてあった)
  場合、出撃フェイズにおいて「盟約を果たす時が来た」と宣言できる。
  そうすることで魔導師(12)を戦列(手札)に加え、さらに王都を回復できる。
 ※この宣言をしたプレイヤーは、このターンに他の選択行動を行えない。

  ◆魔導師(12)を戦列(手札)に加える
   通常通り戦闘結果の判定を行った後、王子(11)を友軍戦死エリアに
   表向きで置く。(判定結果が15以上であっても王子は戦死する)
   そうしたあと、王子と同じスート(記号)の魔導師(12)を表向きで
   戦列(手札)に加える。以後、魔導師(12)は通常の友軍カードとして扱う。

  ◆王都を回復
   被害フェイズに入る前に、被害エリアにあるすべての友軍カードを
   王都山札に裏向きで戻してよくシャッフルする。

  ※この能力を2人とも使い切ったあとで王(K)が被害エリアに置かれると
   ゲームがクリア不可能となるため、プレイヤー全員の敗北となる。

エンディング判定

 王(K)で殺戮王(A)を倒す(相討ちにする)ことに成功したら得点を計算する。

 各プレイヤーの戦列(手札)と王都山札にある義勇兵(7)と新兵(8)を数える。
  義勇兵(7)1枚につき +2点
  新兵(8) 1枚につき +1点
            (合計最大20点)

 友軍戦死エリアにある王子の枚数を数える。
  王子(11) 1枚につき -5点
 ※ただし王子(11)が3枚とも
  友軍戦死エリアにある場合はさらに-5点
            (合計最大-20点)

 以上の点数を合計し、エンディングを決定する。

 ◇1点以上 『未来への凱歌』(ハッピーエンド)
  誰も彼もが、あまりに多くのものを失った。しかし未来への希望だけは残った。
  凱歌はやがて鎮魂歌へと変わるだろう。勇敢に戦い倒れた者たちの魂よ安らかであれ。

 ◇0点 『風の鎮魂歌』(虚無エンド)
  かつてここに王国があったことを覚えているものは、もう誰もいない。
  草木に埋もれた廃墟に、ただ風の歌う鎮魂歌だけが虚しく響いていた。

 ◇-1点以下 『鎮魂歌は届かない』(バッドエンド)
  すべてを失った王は無念にその魂を汚され、やがて恐るべき怨念へと変じた。
  後に<魔連山の魔王>と呼ばれることとなる怪物はこうして誕生したのだ。
  病み果てた魂にはもう、鎮魂歌は届かない。

余談

 戦列に立つ者は誰もが<覚悟>という名の死ぬ理由を持っている。

 王は病に倒れ伏し、余命幾許もない。
 盟友である殺戮王の暴走を止められなかったことを悔いている。
 彼の望みはただひとつ。今一度、命尽きる前に殺戮王と剣を交わし
 呪われた友の魂を魔剣もろとも冥府へと連れ去ることだけである。

 名誉を重んじる勲章の王子は第1王子だが養子。
 遠からず王位継承権を放棄し、王座は弟に譲ろうと考えている。
 彼らを守るためならばいつでも命を捨てる覚悟ができている。
 殺戮王は他ならぬ彼の実の父である。

 聡明な砂時計の王子は第2王子だが側室の子。
 兄弟たちに比べ臆病な自分に王位はふさわしくないと内心恥じていて
 王国のために命を捧げることだけが自身の矜持を守ると信じている。
 砂時計の魔導師は彼が胸中を打ち明けられる唯一の友である。

 沈着冷静な柩の王子は第3王子で亡き王妃の忘れ形見。
 王と同じ病を抱え、しかし王ほど長くは生きられないと感じているが
 それでも兄たちがいれば王国の前途は決して暗くないと確信している。
 柩の魔導師は病苦との孤独な戦いから彼の心を救ってくれた。

 砂時計の魔導師は時間を操る。
 その力をもってすれば未来を操るのも容易いが、世界の持つ可能性を
 摘み取ってしまう。砂時計の王子とは友情のもとに盟約を結んだ。
 もしこの戦いで砂時計の王子が命を落とすことがあれば、王子が持つ
 すべての可能性と引き換えに王国の人々の破滅の未来を消し去ると。
 砂時計の魔導師は躊躇うことなく盟約を果たすだろう。尊敬する友の
 勇気と決意に報いる方法は他にない。嘆きよ、時の彼方に消えて往け。

 柩の魔導師は死の宿命に抗う。
 その力をもってすれば王も柩の王子も死すべき宿命から解放されるが
 世界の有り様に大きな歪みを残す。柩の王子とは友情のもとに盟約を
 結んだ。もしこの戦いで柩の王子が命を落とすことがあれば、すべて
 の歪みを王子に負わせてともに冥府に送り、死に瀕した人々を救うと。
 柩の魔導師は躊躇うことなく盟約を果たすだろう。愛する友の名誉と
 死に報いる方法は他にない。悲しみよ、彼の魂とともに冥府へ逝け。

 危険な訓練を幾度も重ねてきた。彼らの半生はその大部分が訓練だ。
 故に彼らは精鋭なのだ。そして精鋭であるが故に、彼らは恐れない。
 これまでに経験したどんな激戦も、訓練ほど過酷では決してなかった。
 彼らは死を恐れない。恐れず、冷徹に、訓練の成果を発揮するのみ。

 数多くの戦友を失ってきた。傷を負ったことのない者など、ひとり
 としていない。戦いを経験するたびに多くを失い、わずかな真実が
 残った。彼らが戦いのベテランであるという真実が。そして真実は
 その命が失われたとしても、決して損なわれることはないだろう。

 動かぬ的に斬りつけた経験なら数え切れないほどある。いもしない
 敵を追って行軍し、ありもしない敵陣を制圧した経験だってある。
 敵に遭遇する経験だけは、おそらく今回が最初で最後になるだろう。
 だがもし万が一この戦いを生き延びることができたなら?

 故郷を捨てて生きることなど考えられない。どこかへ逃げたとしても
 いずれ殺戮王の軍勢はやってくる。死ぬのが早いか遅いかの違いだ。
 ならば。この手で一矢報いることができずとも、王の軍勢が反撃に
 転じる時間さえ稼げれば。そして誰かが生き残ってさえくれたなら…!

 残された者は誰もが<未来>という名の生きる理由を持っている。

Q&A

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  • 最終更新:2017-06-09 21:28:46

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